中欧の小国ハンガリーが世界に誇る伝統工芸品、それは『ハンガリー刺繍』。

世界中のクラフトファンに愛される、美しい花々が彩られた“カロチャ刺繍”

漁夫の砦のカロチャ土産
漁夫の砦のカロチャ土産

ドナウ川を境に、王宮を擁するブダ側と、商業地のペシュト側が橋で結ばれ、1つの都市として機能するハンガリーの首都ブダペスト。
世界遺産に指定されるほど美しい街並で、国内外から日々、大勢の観光客が訪れる都市です。

写真はブダペスト市内のブダ側にある『漁夫の砦』という、有名な観光エリアからほど近い、ハンガリーの民芸品やお土産を扱うショップ。

野外に設置されたお土産屋さんの入り口付近では、ハンガリーの刺繍アイテムがたくさん風にたなびいています。

美しい刺繍たちが、入り口付近の最も人目につきやすい場所に飾られているのは、観光客にとってお目当ての品であることを物語っていますね。

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カロチャ刺繍のコースター
カロチャ刺繍のコースター

世界中に大勢のファンがいる、ハンガリーの2大刺繍とは?

エプロン、ブラウス、バッグにテーブルマット、キーケースなど、あらゆる暮らしのアイテムを華やかに彩るハンガリー刺繍の数々。
ハンガリー刺繍は、色落ちしない刺繍糸を使い、鮮やかな色の糸をいくつも織り交ぜて製作されます。
どの刺繍を見ても、布一面にあふれんばかりの美しい花の模様がカラフルに施されているのが特長です。

カラフルかつ繊細な花の模様が美しいハンガリー刺繍ですが、実はいろいろ違いがあります。
この国には『カロチャ』刺繍『マチョー』刺繍という、2つの有名な刺繍ブランドがあるんです。

特に前者の『カロチャ』刺繍はとても有名で、世界中のクラフト・ファンから大人気の刺繍です。
その美しさに感動し、額に入れて絵画のように飾るファンは多く、カロチャ刺繍は既に芸術品として世界的に知られています。

写真のように、赤や紫、水色といった鮮やかな花の刺繍が大胆にあしらわれたレースのものが有名です。

クリスマス・マーケットでも大人気の『カロチャ』刺繍

カロチャ刺繍
カロチャ刺繍

写真はブダ側、王宮の丘と呼ばれる世界遺産に指定されたエリアのお土産屋さんにて。
真ん中と左端に、ひときわカラフルな花の刺繍が施されたレース状のテーブルクロスがありますよね。

それらのテーブルクロスは『カロチャ』刺繍の中でも最も人気のある“リシェリュー”スタイルで製作されたものです。


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レースに仕上げるのは熟練の技が必要?

カロチャ刺繍
カロチャ刺繍

出典:https://www.flickr.com/

カロチャ刺繍を拡大してみると、このようにぷっくりと立体的で大きな花の刺繍が特徴的。
シンプルなサテンステッチで作られています。

カロチャ刺繍を作るうえで最も難しいと言われるのが、刺繍をした箇所の周りを抜糸しながら、さらに別の糸でかがってレースに仕上げる作業。
それは糸を編んでレースにする作業よりとても難しいそうで、大変手間のかかる技法なのだそうです。

実際に刺繍をたしなんでみないと、作業過程の苦労は計り知ることができませんね。

ハンガリー大平原の南にある、カトリックの町で発展した民芸品

ドナウ川のほとりにあるカトリックの町、カロチャ(KALOCSA)
カロチャ刺繍という民芸品は、その町と周辺の村々で発展していきました。

その地域の女性たちがまず、仕事として刺繍制作を請け負うようになり、19世紀中頃からしだいにその価値が高まっていきました。

お祭りや年中行事の際の民族衣装に、ふんだんにあしらわれたカロチャ刺繍

カロチャ刺繍をあしらった民族衣装を着て踊る若い女性達。 出典:pinterest.com
カロチャ刺繍をあしらった民族衣装を着て踊る若い女性達。 出典:pinterest.com

カラフルなカロチャ刺繍はもともと、民族衣装のブラウスや、エプロンなどにあしらわれるのが主だったようです。
日頃着用する衣類というよりも、季節の節目となる大きな行事や、教会への礼拝、また、写真のようにお祭りの時などに身につけられるものでした。

ブダペストワインフェスティバル
ブダペストワインフェスティバル

生涯現役で、刺繍づくりに情熱を注ぐハンガリー女性たち

カロチャ職人
カロチャ職人

出典:https://jp.pinterest.com/

第二次世界大戦以前にカロチャの町で生まれたこちらのハンガリー人女性。
彼女は18歳からカロチャ刺繍を作り始め、現在、70歳半ばだそうですが、元気でいられるうちは刺繍をやめることはないそう。
女性達にとっては生涯現役で続けられる仕事であることも、産業として多いに栄えていった背景のようですね。

カロチャ刺繍の中でも、赤やピンク、黄色の花々で彩られたものは、若い女性達の衣装に多く使用されてきました。
それらの明るい刺繍があしらわれているものは、日本の振り袖のようなものと言えば分かりやすいかも知れません。

そしてひときわ華やかで大きな花がいっぱいあしらわれたデザインは、花嫁や新婚の女性が身につけたものなんだそうですよ。

2大刺繍のうちのもう1つは、ユネスコ無形文化遺産の『マチョー』刺繍

マチョー刺繍
マチョー刺繍

カロチャ刺繍とともにハンガリーの2大刺繍と称されるのは、東部のマチョー地方で生まれたマチョー刺繍
マチョー刺繍もまた、2012年にユネスコ無形文化遺産に登録されるほど、美しくて有名な民芸品です。

マチョー刺繍とカロチャ刺繍、どちらも美しい花の刺繍がふんだんにあしらわれているので、見分けがつきにくい方が多いようです。

簡単に見分けたい場合は、カロチャ刺繍は白地でレース状のもの、マチョー刺繍は黒地に大ぶりの花々と認識しておけば見分けがつきやすいですよ。

バッグやキーケースなど、日用雑貨に刺繍されることが多い『マチョー』刺繍

マチョー刺繍のバッグ
マチョー刺繍のバッグ

出典:https://jp.pinterest.com/

マチョー地方のお祭り風景、若い女性達が着るのはもちろん『マチョー』刺繍の民族衣装

matyodance
マチョー刺繍の民俗衣装を来た若い女性たち 出典:pinterest.com

マチョー地方の民族衣装は、スカートやベストなどが黒地のものが多いところです。
こちらの地方でもやはり、年中行事や祭事の際は、マチョー刺繍の民族衣装が多いに活躍しています。

ハンガリーが世界に誇る刺繍文化、特に2大刺繍と呼ばれる『カロチャ』と『マチョー』は、それぞれの地方で家庭を守る女性達の手によって紡がれてきました。
それぞれに細かな違いはありますが、すべてのハンガリー刺繍に共通するのは、そのパターンと色彩には深い意味合いが込められているところです。

昔はパターンと色彩から、女性の婚姻上の地位を知ることができたようです。
それは現代でも同様で、女性の喜びや悲しみを表現し感情を持った民芸品、それがハンガリー刺繍なのです。


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ハンガリーの手刺繍 カロチャ総刺繍のブラックエプロン
ハンガリーの手刺繍 カロチャ総刺繍のブラックエプロン

 

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